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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 怪しい魅力と魔力の広告

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 たまに入ってくるこんなチラシに、不覚にも目を奪われることがあると思う。

「11億円が当たった!」
「驚異の的中率!」
「これで老後も安心です!」

 こんな言葉が踊っている。「宝くじの番号当て機」の宣伝だ。極彩色で、言い方は悪いが、シュミの悪いごちゃごちゃしたチラシ。でもなぜかじっくり見入ってしまう魔力がある。僕はこの手のチラシの手法が大好きで、参考資料として大切に保管している。

■ 「定説:目の動きはZ型」は素人考えである!

 編集者や、ウェブデザイナー等が好きな”人間の目の動きの法則”に、

「左上から見始めて、Z型を描くように目が動く」

と言う説がある。これを疑わなければならないことに、そろそろ気づいてほしい。普段からのモノを見る目が職業的にそうなっているだけで、一度消費者になったらその法則は無意識に崩れているはずだ!

 チラシに限らず、雑誌、ポスター、看板、何でもまず「パッ」と見て1番目立つところを見る。そして、その周辺に目を這わせ、次に目立つものを見る。そして瞬時に「読むか、読まないか」を判断し、読まないと判断されれば、目は次のチラシへ。

■ 「宝くじ機チラシ」の計算力

 見てもらえない広告を打っている会社に比べたら、この「宝くじ機チラシ」は見てもらえるのだから凄い。しかし、重要なのはこの広告の裏にある優秀な「計算」だ。

 このチラシはシュミの悪い極彩色。でも、こうでなければならない確固たる理由がある。4回目のメールマガジンの中で、”人間が『乱調』に敏感なのを利用して、意図的に乱調を作る宣伝広告手法がある”という内容の話をした。このチラシがまさに乱調広告のチラシだ。

■ 乱調は他社があってこそ生まれる

 デザイナーは通常、自分のキャンバスである紙面の中に収まる”まとまり”の良いデザインを考える。もちろん広告主の取り扱う商品がファッショナブルな商品であれば、そうでなければならない。

 しかし、この「宝くじ機」デザイナーが凄いのは、他社のチラシが均整のとれた、デザイン的・色彩的にレベルの高いものであることを利用していること。つまり、自分の乱調チラシを他社の均整のとれたチラシの中に放り込む事で目立たせる。意図的に、白い羊の群れの中に一頭だけ黒い羊がいる状態を作りだしていると考えれば分かりやすい。

■ 嫌悪感=なんだろう、これ?

 このチラシをデザインした方は計算の上だろうが、「宝くじ機チラシ」は見た瞬間嫌悪感に似た感情を持つ。きれい・きれい・きれいと来て、次に「うげっ、きたないチラシやなぁ」と思う。でも、次の瞬間、

「宝くじ・・・完全・・・解析・・・」

 知らないうちに、ここまで読まされている。これだけ聞けば、もうなんの宣伝か理解出来る。では、なぜ「宝くじ・完全・解析」だけを読むのか?

■ 文字の大きさと色のトリック

 まず、全文を紹介しておく。「宝くじは完全に解析された!」だ。

 仮に、これが同じ色、同じふち取り文字、同じサイズで奇麗に書かれていたら読むだろうか?おそらく読まれない。しかし、このチラシのデザイナーはそこも計算済み。読ませる作戦は色、文字サイズ、スタイルだ。

・ 宝くじ (黄文字・赤背景・イタリック)・・・・・・・視認性●
・ は   (青文字・黄色背景・2回り小さい文字)・・・視認性-
・ 完全  (黄文字・赤背景・イタリック)・・・・・・・視認性●
・ に   (青文字・黄色背景・2回り小さい文字)・・・視認性-
・ 解析  (黄文字・赤背景・イタリック)・・・・・・・視認性●
・ された!(青文字・黄色背景・1回り小さい文字)・・・視認性-

これを、視覚的に表示し、デザイナーが読ませたい文字だけ浮き上がらせると、

「宝くじ_完全_解析___!」となる。

全文と比較して、どちらが楽に読めるか、テストしてみよう。

「宝くじは完全に解析された!」

「宝くじ_完全_解析___!」

■ 意味は後から付いてくる、いや、付けてくれる

 ハッキリ言って「宝くじ完全解析」だろうが、「宝くじは完全に解析された」だろうが、「宝くじの完全な解析はできる?」だろうが関係ない。「宝くじのような、不規則なものに法則を見つけたらしい」という”雰囲気”だけ伝わればいいのだ。あとは、お客さんが好きなように想像すれば良い。

■ このチラシのターゲットは?

 「あんなチラシ褒めるな!私は、そんなチラシで買わされないぞ!」

と思った方がいるかもしれない。そう思った方は、このチラシの対象ではないというだけの話。大切なのはこの機械に魅力を感じ、購入する人達がいる事実。

 その人たちの所在が最初から分かっていれば、直接DMを打つ。本当は僕らのような「買わない人」に送るチラシはできれば避けたい。両面カラー印刷、しかも紙質は普通のチラシより上質。とてもお金がかかっている。だれだって、読む人だけに送りたい。でも、そう簡単にいかない。

■ 企業のPR担当者なら

 自分が嫌悪感を感じるものだからといって、無視してはいけない。仮に「宝くじ_完全_解析___」と読んでしまったら、

「ああ!誘惑だ!こんなものに吸い寄せられてはいけない!」

と抗わず、なぜ読まされたのか?なにが目を惹いたのか?自分の仕事に応用できないか?を考えてみてはどうだろう?

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